「音楽家のための確定申告講座」(第8回特別講座「若手音楽家のためのキャリア展開支援」)

音楽総合研究センター シンクタンク機能・社会発信室では、卒業後の活動を視野に入れた支援として、2017年度より旧音楽創造・研究センター主催のもと特別講座「若手音楽家のためのキャリア展開支援」という講演会シリーズを開催しております。こちらのページでは、2019年度の第8回特別講座でご登壇いただきました、税理士の栗原邦夫先生のご厚意により、講演内容を講演録として掲載いたします。
これからプロの音楽家をめざしたい方、卒業後にフリーランスのアーティストとして活動していきたいと考えている方、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

第8回 特別講座「若手音楽家のためのキャリア展開支援」
音楽総合研究センター シンクタンク機能・社会発信室〈講演会シリーズ〉第8回
2019年10月16日(金)18:00 ~ 20:00
東京藝術大学音楽学部 5-109教室

講師 栗原 邦夫 先生(税理士)

 

 

 

 

 

 

 

テーマ「音楽家のための確定申告講座」

●講演の流れ 
0. はじめに
【おたよりコーナー①】
1.  確定申告
1-1. 確定申告ってなんなの?
1-2. 確定申告って誰がやんなきゃなんないの?
1-3. 確定申告ってどんなしくみなの?
【おたよりコーナー②】
2. 源泉徴収税の話
【おたよりコーナー③】
3. “親との関係”の話
【おたよりコーナー④】
4. 青色申告の話
5. 消費税の話
6. 経費の話
7. まとめ
8. 質問コーナー 

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0.はじめに

「お金で損をしたくない」

きっとあなたもそう思いますよね。

今日は、そんなお金にまつわる話の中の一つ、確定申告について、音大生や音楽家の具体例をあげながら、お話ししていきたいと思います。

基礎編ですので、なるべく基礎的なお話や、多くの人が疑問に思うところを中心にしていきます。

そして、ところどころ、

“損をしないためのコツ“や

“得するためのポイント”などを

伝えていきますね。

今日のセミナーは、“みなさんから寄せられたおたよりの質問に答えていく“という形で進めていきます。

このおたよりに書かれている内容は、過去に実際にあった相談に基づいて作ったものですので、そのあたりも「あるある」と思ってもらえたらうれしいです。

では始めて行きましょう。

【おたよりコーナー①】

まずは【おたよりコーナー】です。おたよりを紹介したいと思います。

ペンネーム 岐阜のガムラン娘 さん
いつもわかりやすい説明をありがとうございます。
今日は質問があります。
一言でいうと確定申告ってなんなの?ということです。
今年からいよいよ自宅でピアノを教え始めようと思っています。 先日実家に帰った時に両親にその話をしたところ、大賛成をしてくれたのはよかったのですが、同時に「確定申告もちゃんとやりなさいね」と言われてしまいました。
両親は真面目な性格なので、そういうところはちゃんとしてほしいらしいのですが、何せ二人ともサラリーマン、詳しいことはわかりません。 藁にもすがる思いでハガキを書きました。宜しくお願いします。

1. 確定申告

1-1. 確定申告ってなんなの?

というわけで、まずは確定申告ってなんなの?というお話をしたいと思います。

確定申告というのは、こんな感じになります。

稼いだお金を計算してというのは、いただいたお金のことです。そこから、交通費などの必要経費を引いて、最終的なもうけはこれくらいという計算をします。この計算を本人がすることになります。

税金の額も計算しては、➀で計算した儲けに対して、税率をかけて税金を計算します。個人の確定申告というものは、必ず1月から始まり、12月末までの計算というように決まっています。年税額ともいうのですが、ここで年間の税金の額を計算します。

税務署に報告をすることというのを説明します。納税かと思いきやなぜ報告なのかというと、3パターンの報告の仕方があるからですまずは、「納税」というように払うパターンがあります。次に、税額が出ないパターン、つまり税額ゼロで払わないと報告する人もいます。そして最後に、源泉所得税という税金が、税務署から戻ってくるパターンの人がいます。このなかで、納めた税金が戻って来るパターンを後ほど詳しくお話したいと思います。

1-2.確定申告って誰がやらなければいけないの?

時々、講義が終わった後、「自分は確定申告をやらなきゃいけないのでしょうか?」と、ドキドキしながら聞きに来てくれる人がいます。

確定申告をしなければいけない人というのは、基本的に、この10項目がある人です。

とは言え、音大生や音楽家は、この10項目のなかから、2つだけ知っておいてもらえればいいかなと思います。

それは「事業所得」と給与所得」です。

「事業所得」というのは演奏の収入や教室でのレッスン、作編曲をして報酬をもらうというものです。これが、「事業所得」あるいは「雑所得」と呼ばれるものになります。

「給与所得」は、わかりやすいところですと、サラリーマンのお給料やアルバイト代などの収入や所得のことです。

ちなみに給与所得は、正社員でも、アルバイトでも、パートでも、税金の世界では“給与所得”という中に入っていて、計算はすべて同じです。

若い音楽家の人だと、多かれ少なかれアルバイトなどをやりながら音楽活動をしている人が多くいるので、「給与所得」も入れておきました。

この二つの所得について、確定申告をしなければならない人は、基本的に次の3パターンです。

まずは、事業所得から所得控除というのを引いてもプラスになる人です。

「事業所得」というのは、先ほど言った演奏や教室でのレッスン、作編曲のことです。所得というのは、収入から、交通費や楽器修繕費などの経費を引いた残りのもうけが「事業所得」なんだと思ってください。

税金の世界には「所得控除」という、“税金の計算上控除できる”というものがあります。

“事業所得と給与所得を合わせたものから、この所得控除というものを引いてプラスが残る人は確定申告をやる”というルールがあると思っておいてください。

 

次に、事業所得と給与所得の仕事を掛け持ちしている人は確定申告をする必要があると思ってください。

最後に、給与所得が二ヶ所以上ある人も確定申告の必要があります。給与所得の人には「年末調整」というのがあって、給与が一か所だけの人は、会社で年末調整をしてくれますからそれで終わりです。ところが、例えば、2,3ヶ所で給与所得の仕事を掛け持ちしている人の年末調整は、法律上はどこか1ヶ所でしかできません。2ヶ所以上ある人は、給与を合算して確定申告をしてくださいというルールがあります。

ただし例外があります。確定申告をしなくてもいい人の中には、源泉所得税というお金が、戻って来る人も多くいます。この人は、確定申告をしたほうがお得になったりするのです。

後ほど説明します。

1-3. 確定申告ってどんなしくみなの?

流れとしては左下から右上になっています。

確定申告の用紙と照らしてみるとこんな感じです。

この階段がどのように変化していくか説明したいと思います。

収入が10万円あったとして、往復で1,000円の交通費がかかったとします。ここで経費を引いた99,000円が所得になるということです。

ここから保険料や基礎控除といった一定の金額を引きますというのが、所得控除のことです。

さっきお話しした“所得”から“所得控除”を引いた残りの「課税所得」のところがプラスになる人は確定申告してくださいというのがここの話ですね。

売り上げがあって、経費などを引いたもうけがあって、所得控除というものが何かあったら引いていった、その残りの金額が、「課税所得」という名前なんだと思ってください。

ここで課税所得に税率をかけることになります。これが年税額ということです。税率は5%からスタートします。

累進課税って聞いたことありますか?これは課税所得が多いと、どんどん税率が上がるシステムのことです。例えばプロ野球選手とかプロサッカー選手でウン億円以上稼いでいる人とかが半分以上の納税があったりって聞いたことありますか?あれは、課税所得が多いので、税率も高くなっているのです。

図に「納税額」の上に「ここで源泉税とかの調整をします」と書いてあります。

源泉税というのは、源泉所得税の略称なんですが、今、源泉税の税率は正確にいうと、10.21%なんです。この源泉税というのは、税務署への仮払いというように思ってください。

引かれれば引かれるほど税務署に積み立てのような形で入っているというイメージです。ただし、確定申告をした人だけ、この源泉税を精算できる権利が発生するので、確定申告をしなければ、源泉税は税務署に納めたままになってしまうという形になります。

次に、こちらが所得のイメージです。収入から経費とかを引いた残りが所得(もうけ)ということを確認しておきましょう。

本日の大事なポイントである5つのお話(消費税の話、経費の話、扶養の話、青色申告の話、源泉税の話)ですが、先ほどの図にどのように関わっているかをこのようにピンクの吹き出しで示しました。このピンクの吹き出しの内容を、このあとお話ししていきますね。

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