近年、欧米で注目される音楽系大学の教育研究領域の一つに、「音楽キャリア展開支援」、「アントレプレヌール支援」があります。とくに後者はもともと経営学における「起業家の養成支援」として使われてきたものですが、昨今ではフリーランスを支える支援として音楽家教育にも派生し、既存の枠に留まらない自由な発想と実現させる行動力をもったアーティストの養成をめざす支援として、より広いニュアンスで使われるようになりました。両支援とも、生涯にわたって音楽活動を継続できるアーティストを養成するという意味で、密に関わりながら展開しています。*

こうした流れを受け、音楽総合研究センターでは前身である音楽創造研究センター(平成26~30年度活動組織)の時代より、まず2014年度に海外の音楽系大学におけるアントレプレヌール支援状況調査や、学内調査を行いました。続く2015~2016年度は支援の試行として、ウェブ調査と分析を経た「アウトリーチ」・「助成制度(国内・海外)」・「国内コンクール(洋楽・邦楽)」募集情報のウェブ発信とシンクタンク機能構築を始動しました。2017年度には支援名を「音楽活動支援」と一新した上で、2018年度に音楽総合研究センター「シンクタンク機能・社会発信室」への機能定着を果たしました。2019年度も引き続き、若手音楽家の活動支援のためのイベント実施、データベース化、ウェブ発信を行っていきます。

* 国際的な動向の参考例
・ヨーロッパ音楽院協会が発足した研究プロジェクト「ポリフォニア・プロジェクト」によるワーキング・グループ「生涯学習:アントレプレヌール教育」(2011~2014年)
・アメリカで1995年に組織された、音楽家のキャリア展開に関する専門家の国際ネットワーク Network of Music Career Development Officers