確定申告と還付申告【入門編】(若手音楽家のためのビジネス・マネジメント)

7.キーワード集

青色申告承認申請書

青色申告特別控除
「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出した場合に受けられる控除です。帳簿の付け方が異なる「10万円控除」(簡易帳簿)と「65万円控除」(複式帳簿)があります。

按分
雑所得や事業所得で経費を計上する際、作業場として使用した家賃や水道光熱費にかんして、実際の時間割合や面積割合を反映させて計算する方法です。
 例)家賃月額7万円 × 毎日8時間練習(8/24h)× 10/40m2 = 0.58万  12ヶ月だと約7万

開業届

課税所得
所得から社会保険料控除や基礎控除など各種所得控除を引いた金額です。

給与所得控除

経費

減価償却
購入した固定資産を、その耐用年数に応じて分割して費用計上する会計処理のことをいいます。「固定資産」とは、仕事で使う設備や機材を指します。つまり数年間使い続ける資産という意味です。買ったときに「固定資産」として帳簿に残しておいて、その後、数年間で分割して経費に落としていく処理をします。資産の種類・耐用年数は細かく決められています(減価償却にかんする国税庁ウェブページの説明へ)(国税庁ウェブページの耐用年数表へ)。 (例)カメラ、ビデオカメラ:5年
   パソコン:4年
   ソフトウェア:5年
   楽器:5年
   音響機器:5年
   いす:5年
ただし、雑所得でも10万円未満であれば、一括で一年の経費に入れられます。
白色申告では、さらに10万円以上~20万円未満の資産であれば3年で等価分割して経費として計上できます。
さらに青色申告の場合は、「少額減価償却資産の特例 」により、30万円未満であれば、一括で一年の経費に入れられます(ただし年間で合計300万円まで)。

源泉徴収の税率
雑所得や事業所得の場合(これを報酬などと言います)、1回の報酬支払が100万円までは一律10.21%です。給与所得の場合は一覧表で決まっています(詳しくは国税庁ウェブページの平成31年(2019年)分 源泉徴収税額表へ)。

源泉徴収票(給与所得の場合)
会社などが給与を支払った相手(あなた)に対して交付する、給与に関する明細です。書面だけでなく電子交付も認められています。2月になっても発行されていない場合は交付をお願いしましょう。源泉徴収票は確定申告書に添付する必要があります。

個人事業主

雑所得

支払調書(雑所得・事業所得の場合)
本来は会社が税務署に提出するための書類です。個々人に支払調書を送る義務はないため、送られてこないこともあります。確定申告の際も添付する必要はありませんが、あった方が信頼性が増すと思われます。2月中旬になっても送られてこなかった場合には、送付をお願いすると、もらえる場合もあります。

収支内訳書

収入
1年に実際に稼いだ金額、年収

住民税

所得

所得控除

出納帳

税率(所得税)

損益計算書

復興特別所得税額
東日本大震災後、復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法が公布され、「復興特別所得税」及び「復興特別法人税」が創設されました。個人の支払義務者は、平成25年から平成49年までの各年分の所得税額が、復興特別所得税の課税対象となります。 復興特別所得税額は、「基準所得税額 × 2.1%」です。(国税庁ウェブページへ)

扶養控除
被扶養者(扶養される人)の総所得が38万円以下の場合(給与所得のみの場合は給与収入103万円以下の場合)、扶養者(扶養する人)が38万円の控除を受けられます。また被扶養者の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の場合は、「特定扶養親族」となり、通常より多い63万円の控除額になります。(国税庁ウェブページの説明へ)

領収書類の保存方法
税務署が行う税務調査が入る場合があります。領収書の保管期間は5~7年ですので、税務調査の際には、5~7年前の内容にかんして、一切の領収書類を提示しなくてはなりません。手元にない場合は再発行などをする必要があります。そこできちんとした申告として認められなかった場合には、申告漏れや脱税となり、追徴課税などの重いペナルティの対象となります。きちんと整理しておくと粗は生まれないもの。項目毎・月毎にレシート類を透明袋などに入れ、さらにクリアファイルで整理しておくと良いでしょう。あるいはノートにテープで貼って簡単に一覧できるようにしておく方法も良いようです。日頃から秩序立てて整理しておくと間違いもなく、作業も効率化します。

ページのトップに戻る

8.参考文献

水村耕史『同人作家のための確定申告ガイドブック2018』、KADOKAWA、2018年。

桑原清幸『駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A』、玄光社、2017年。

笠原清明『フリーで仕事を始めたらまっさきに読む経理・税金・申告の本』、クロスメディア・パブリッシング、2014年(第2刷2017年)。

山田竜也『フリーランスがずっと安定して稼ぎ続ける47の方法』、日本実業出版社、2018年。

久保田慶一『大学では教えてくれない音大・美大卒業生のためのフリーランスの教科書』、ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス、2018年。

梅田泰宏『経費で落ちるレシート、落ちないレシート:個人事業・フリーランスの「経費」と「節税」』、日本実業出版社、2014年(第10刷2017年)。

高橋敏則『フリーランス・個人事業の青色申告スタートブック』(改訂5版)、ダイヤモンド社、2016年。

ページのトップに戻る
全体の目次に戻る