「音楽家のための確定申告講座」(第8回特別講座「若手音楽家のためのキャリア展開支援」)

本日の話の順番

続いて本日のお話の順番です。

源泉所得税のところは、先ほども言いましたように皆さんにとても関係する部分だと思いますので、こちらはしっかりお話します。

扶養(親子・夫婦)関係は、関係のある方もいると思いますので、このお話もします。

青色申告・経費・消費税(ポイントのみ)のところ、今日はポイントと、皆さんにお得になりそうなところだけかいつまんでお話します。

【おたよりコーナー②】

ここで、【おたよりコーナー】です。

ペンネーム ビブラフォンは運ぶのが大変 さん
栗原さんこんにちは。 私は音大でビブラフォンをやっていきたいと思っています。
1年生まではコンビニでアルバイトをしていただけだったのですが、2年生になって初めて、ライブハウスでジャズの演奏のライブをしました。
その時にライブハウスのマスターから「源泉はまとめて引いておくからね」と言われたので、よくわからないまま「はい」と答えました。
演奏が終わって、ギャラをもらってみると、5人で5万円のところ、手取りが少なかったので、恐る恐るマスターに聞いてみたところ、「源泉を引いたからだよー」と明るく言われました。
そういうものなのかと思いながらも、アルバイトの時よりもたくさん引かれているような気もして、なんだかもやもやしています。
栗原さん、源泉ってなんですか?わかりやすく教えてください。
もし今後、気を付けておいた方が良いことがあれば、それも教えてください。宜しくお願します。

というおたよりをいただきました。源泉所得税のお話ですね。

2. 源泉所得税の話

誰が対象者なの?

世の中の実情コツ

①②はよくある質問からピックアップしました。

私(講師の栗原)は今、東京音大に6年くらいインドネシアの民族音楽のガムランの聴講生として通っています。その中で、ガムランをはじめとする色んな音大生や卒業生から寄せられた相談をまとめてセミナーにしてほしいという要望があり、このような講座が始まりました。これが約2年前です。

今日の内容は、基本的には実際にあった質問や出来事からお話しています。

「誰が対象者なの?」ということですが、

引かれるのは個人の演奏活動者

演奏と書いていますが、作編曲をする人もいれば、レッスン(教室)をする人もいますね。

個人のというところがポイントです。

過去オンカクをしてきて、何百人の受講生のなかで、会社を経営しているという人は多分一人もいなかったと思いますが、もし会社で活動をやっているという人がいたら源泉所得税は引かれないです。

引くのは源泉徴収義務者です。

あなたにお金を払う人の中には、源泉所得税を引く人と引かない人がいることだけを知っておいて覚えてください。

次は源泉の流れのイメージです。

あなたがライブハウスで演奏したとします。1万円のギャラの約束をしたら、9,000円を支払われました。これは手取りということになります。そうすると、この1,000円はどうなっているのかというお話になります。この1,000円は、このお店のマスターが、あなたの代わりに税務署にきちんと納めているはずです。

ちなみに、先ほども少しお話ししましたが、実際の正確な税率は、10.21%です。1万円のギャラなら、1,021円が引かれます。

でも、今日のセミナーでは、イメージをつかみやすくするために、10%で進めていきますね。

繰り返しますが、実際の税率は10.21%です。

確定申告をした人だけが精算の権利が発生するというお話をしましたが、もしもマスターがうっかり払い忘れていたとか、何かのミスで税務署に払われなかったとしても、あなたが確定申告すればきちんと戻ってきます。

この1,000円を精算して取り戻すためには、確定申告をするというのが唯一の手段となります。

次は「自分が損をしないために」のお話です。

① 申告する義務はないんだけど

自分で記録しよう

早めに相手に聞こう

①のお話ですが、確定申告しなくても良い人、つまり、法律上、申告する義務がないという人のお話です。

所得から所得控除をしたらプラスになる人が申告しなければいけないとお話ししましたが、つまりプラスにならなかった人は申告する義務がないわけです。

これを図で確認してみましょう

1回10万円のステージを3回やって30万円の収入があったとします。このセミナーでは源泉額を10%としましたから、ギャラの手取りは27万円でした。

その翌月には、マスターがあなたの3万円を税務署に納めているはずです。

確定申告をした人だけ3万円が戻ってくるお話をしましたけど、先ほどみた確定申告書のなかでこんな計算を行っています。

1年間のギャラ、つまり収入が30万円だとします。そして、計算を簡単にするために、仮に経費がゼロだとします。そうするともうけは30万円ですよね。ここで「所得から差し引かれる所得控除の中身は何があるんだろうね?」ということになります。私の過去の経験では、学生の皆様はこの部分はほとんどないです。あったとしても国民年金でしょうか。国民年金を自分で払っている人はここに入ります。もう一つは、日本で誰でも控除できる基礎控除というのがあるんです。これは日本で税金を払っている人なら、誰でも38万円控除できるという金額です。

何にもなくても、38万円だけは控除できるようになっています。

税金の世界ではー(マイナス)のことを△で表します。

30万円から38万円を引いたらマイナス8万円なのですが、税金の世界では、基本的に引ききれない場合はゼロにします。なので、課税所得はゼロになるということです。

皆さん、もしかしたら覚えていますか?

ここの課税所得がプラスの人だけが確定申告しなければいけないのだから、ゼロだったら法律上は申告しなくても良いという人になります。

というわけで、この人は確定申告の義務はないのですが、もしも自分で確定申告をすれば、“年間に払うべき金額はゼロなのに、仮払いしておいた源泉所得税が3万円ある”ので、その差額の3万円が戻ってくるということです。

しかし、次の年に、住民税という税金があって、課税所得×10%くらいが住民税としてかかってくるので、その住民税と戻ってくるお金とを比べるということになります。比べてみて得するなら、確定申告したほうがいいかもということになりますね。今の例の人は、確定申告の手間がどれほどめんどくさいのかは本人に委ねますが、課税所得がゼロ、つまり住民税がゼロなので、金額的な面だけで言えば、確定申告をした方がお得です。

過去オンカクで受講した方たちは、ここの部分が逆転しているパターンが多かったので、今日の皆さんの金額がどうなるかはわからないですが、確定申告をしてみた方が良いのかな?という方が多いのではないかと思います。

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