東京藝術大学 音楽創造・研究センター     

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「これから海外活動をめざす方へ」                   (第1回特別講座「若手音楽家のためのキャリア展開支援」)

「1.現在までのキャリア展開史」
「2.海外活動の様子」
「3.テーマの獲得」
「4.海外活動の意義」
「5.プロフェッションを継続するために心がけていること」


3.テーマの獲得

さて次に「テーマの獲得」について、お話しましょう。

テーマというのは、海外公演において、「あなたは誰ですか?」という質問がされたときに答えるような問いです。海外では、「あなたは何の専門で活動していますか?」「大学を卒業後、どういうことを研究していますか?」といった質問が、パフォーマーに対してよくされます。その答えになるような活動指針です。

私の場合は、35歳位の時から「道化」というものをテーマに掲げ、度々自分のリサイタルで発表してきました。道化とは、簡単にいうと笑いです。歌舞伎、古典のなかには笑いの要素がかなりあります。そこで最初はずっと「笑い」というテーマを追っていました。ですが、その後、単なる笑いを追究したいのではないというところに辿り着き、人間のドラマを映し出す「笑い」、そこから人間社会にある「道化」を探し始めました。笑いのなかに実はかけひきがあったり、人間の葛藤があったりするということを、だんだん勉強させていただきました。

そして最終的に「道化」という生き方をしてきた歴史上の人物に興味を惹かれてきました。さきほどの《一休と義政》では、一休禅師、そして足利義政という人物が登場します。その二人をいろいろリサーチしましたら、かなりひねくれた道化の人物であったので、この二人を取り上げました。歴史上、実際にはこの二人は会っていません。どこの書物にも二人が会ったということは書かれていないのですが、もし会ったらどういう会話をしていたのかというところから、作品を作らせていただきました。

前回、前々回の作品では、紀貫之をテーマにさせていただきました。有名な歌人ですよね。歌舞伎のなかでも六歌仙・歌人がたくさん出てきます。紀貫之を調べると、たくさん面白い題材が出てきました。かなり変わった人でした。

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